『紙レース』と呼ばれた稀有のレース人形 瀬戸ノベルティ文化保存研究会・瀬戸ノベルティ倶楽部

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『紙レース』と呼ばれた稀有のレース人形

2月14日
☆瀬戸市美術館で1月28日まで開催された「海を渡ったせとものたち~田中荘子オキュパイド・ジャパンコレクション展~」。

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*その企画展で展示された製品に関してさらにわかったことがあります。 
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*この製品を当会はこれまで「板レース」と表現してきました。
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*しかし、このほど、その製品が当時、『紙レース』と呼ばれていたことがわかったのです。

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*↑まず、「陶業タイムス」昭和25年1月2日第69号に掲載されている記事。「陶業タイムス」は綜合通信社が発行していた週刊の業界紙で、オキュパイド・ジャパン時代を知ることのできる稀有な資料です。この資料はオキュパイド・ジャパン研究家の吉原ゆう子さんを通じて日本陶磁器意匠センターから当会に提供された資料です。昭和25年1月2日第69号に、この製品が「陶磁器玩具・新製品・USAによるケンネスピーハンズ歩兵少佐の名付けによる『デインチドーリス人形』」である、と記載されていました。↓
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*↑まずこの記事によって、瀬戸市美術館に展示された厚さ1ミリという薄いスカート地の人形が『デインチドーリス人形』:と呼ぶ人形であることがわかりました。↓
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*この<デインチドーリス>という名称ですが、これは<デインチ・ドーリス>、ひょっとして“Dainty Dolly”また、その複数形の “Dainty Dollies”というのではないかと推察できます。“Dainty”というのは可愛らしい、可憐な、という意味、また“dolly”というのは小児語で“お人形ちゃん”という意味です。因みにネットで調べてみますと、“Dainty Dolly”という人形のジャンルはあるようです。
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*当会の認識は誠にいい加減なものですので、アメリカ在住の田中荘子さんからお教え頂けることかもしれません。ともあれ、このOJ製品が“Dainty Dolly(Dollies)”人形と呼ぶ製品であったかもしれないということが「陶業タイムス」から教えられました。
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★さらにこのほど、その製品が『紙レース』と呼ばれていたこともわかりました。
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*↑「陶業タイムス」昭和27年5月19日号にその掲載がありました。↓
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*『紙レース』。これは、ある種の紙に泥漿(でいしょう:レース人形用に調合した泥状の粘土)を染み込ませ、それを陶体に取り付けて焼成したレース人形です。しかし、この製品の製作にどんな種類の紙が用いられたのか、詳細はわかりません。
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*この製品を作ったメーカーの昭和30年代初めの写真も当会は入手しています。このメーカーは昭和30年代から“集団集職”を採用していました。↓
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*↑最盛期、商談で来日したアメリカのあるバイヤーを接待したノベルティ業界関係者の宴席写真も当会は入手しています。↓
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*当時、『紙レース』と呼ばれていたこの製品は、今でさえなかなか作ることができないほど高度の製造技術を要する製品だったのです。


☆瀬戸市美術館で開催された「海を渡ったせとものたち~田中荘子オキュパイド・ジャパンコレクション展~」は敗戦後の瀬戸を中心とする日本で作られ、アメリカに輸出されてこのほど里帰りした製品が展示されました。この展示品の中に占領下に出版された日本紹介の本がありました。“JAPAN TODAY”という本です。
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*この本の冒頭にGHQ総司令官のマッカーサーと天皇が並んで写る写真が掲載されています。↓
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*↑この写真には“Emperor of Japan pays a visit to General MacArthur,Supreme Commander”「天皇が総司令官マッカーサーを表敬訪問した」というキャプションがあります。
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第一生命館 (東京都) 302s
*↑この時、天皇がマッカーサーを訪問したのがこのGHQ総司令部が入っていた当時の第一生命館でした。 : 写真は国会図書館モージャーの占領下写真より)
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*↑占領下の日本人を卓越した筆致と広範な取材で描いたドキュメント本があります。ジョン・ダワーが著した『敗北を抱きしめて』です。この本は「1945年8月、焦土と化した日本に上陸した占領軍兵士がそこに見出したのは、驚くべきことに、敗者の卑屈や憎悪ではあく、平和な世界と改革への希望に満ちた民衆の姿であった。勝者による上からの価格名に、敗北を抱きしめながら民衆が力強く呼応したこの奇蹟的な『敗北の物語』を、米国最高の歴史家が描く。20世紀の叙事詩。ピュリッツァー賞受賞」(本のカバーよの文より)。
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*この本の中に作家・坂口安吾の『堕落論』が紹介されています。その書の中のジョン・ダワーの記述に深い感銘を覚えます。
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(↑坂口安吾<ジョン・ダワー著『敗北を抱きしめて〈上〉』より>)

*「坂口安吾は、1946年4月に世に出した小論『堕落論』で、戦時体制は“幻影的”なものにすぎなかったと激しく批判し、これに比べると戦後社会の堕落のほうが人間的で真実に溢れていると論じた。…後の批評によると、人々は『堕落論』によって戦争という憑き物を落とすことができ、自分をとりもどし、生きてゆく自信を得ることができたのであった。…特攻隊の勇士はただ幻影であるにすぎず、人間の歴史は(神風特攻隊員が)闇屋となるところから始まるのではないか。…そして或は天皇もただ幻影にすぎず、ただの人間になるところから真実の天皇の歴史が始まるかもしれない。(中略)…『堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わねばならない』、これが坂口の結論であった。そうすることによって、人々は彼自身、彼女自身の『武士道』や『天皇制』を編み出さなくてはならない。…すなわち、個人のレベルでの真の『主体性』(真の『主観性』ないし『自律性』)に立脚した社会でなければ、国家権力による民衆強化の力にはけっして対抗できないのではないかという問題である」。
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*ジョン・ダワー著『敗北を抱きしめて〈上〉』によれば、安吾は『堕落論』でさらに「肉体の門」を書いた作家・田村泰次郎にも触れ、「重要なこと、つまり議論の余地なく真実で、信頼でき、不可欠なものはただ一つ、孤独な肉体をもった個人なのであった」と書いています。“オキュパイド・ジャパン”という時代は、“憑き物”であった戦争の狂気,“国体”という幻影から日本人を解放することになった敗戦の試練の中で、虚構であり妄想でもあった“国家”というものの統率者ではなく、真に民衆に寄り添った新しい時代の天皇像をも模索した思惟の時代でもあったのです。国家によって管理される象徴天皇像から、自ら民衆の苦悩に寄り添うことを使命と受けとめ、普通に苦悩する人間としての意思と感情を生きる天皇像を仰ぐ時代に至っているのではないかと考えられます。そうしたことを思いながら、今一度瀬戸ノベルティを見つめてみる時、瀬戸ノベルティが一層いとおしいもののように思われてくるのです。

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