アーカイブ :2016年07月18日 瀬戸ノベルティ文化保存研究会・瀬戸ノベルティ倶楽部

瀬戸ノベルティ文化保存研究会・瀬戸ノベルティ倶楽部

“これこそ、せともの”セトノベルティの魅力を紹介し、その技術継承に努める市民活動団体です。

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『青銅の基督(キリスト)』が瀬戸・永泉教会で上映されました。

7月18日
☆昭和30年に公開され、瀬戸の粘土鉱山でクライマックスシーンの撮影が行なわれた映画『青銅の基督(キリスト)』が18日午後2時から瀬戸・永泉教会で上映されました。礼拝堂は満員の観客で埋まりました。

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(↑18日午後、瀬戸・永泉教会↓)
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*ステンドグラス超しに七色の光が注ぐ礼拝堂での上映会となりました。
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*↑敬虔な信者・モニカ(香川京子)とその弟・吉三郎(石浜朗)
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*↑モニカに恋する鋳物師・萩原裕佐(岡田英次)
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*↑モニカとの恋が叶わぬために裕佐の代償愛の対象となる遊女・君香(山田五十鈴)、右奥は妹のお蝶・野添ひとみ
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*↑転びバテレン・フェレラ(滝沢修)
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*↑瀬戸の粘土鉱山で撮影が行われたクライマックスシーン↓
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*長崎奉行はモニカや吉三郎など隠れ信者たちを強権で捕縛し、かれらに“踏み絵”を強いたのです。その踏み絵は鋳物師の裕佐が造った青銅製の踏み絵でした。↓
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*この踏み絵の絵柄は映画では十字架上のキリスト礫刑像でした。 ↑
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(↑当会所有の「ピエタ像」 :林幹夫原型)
*しかし、もともと長与善郎の原作では踏み絵は「青銅のピエタ」↑でした。

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*↑ノベルティ会社や洋食器メーカーなどの従業員が多数エキストラ出演した公開処刑場面↓
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↑粘土鉱山に大がかりなセットが組まれ、撮影は何日も続いたそうです。この陣屋の武士を演じたのは山形勲でした。↓
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*↓その山形勲を瀬戸市で銭湯を営んでいた松原耕一さんが撮影していました。映画の撮影カメラマンと顔なじみになった松原さんはそのカメラマンからすぐ近くで撮影を見ることを許されていたのです。↓
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*モニカは“転ばず”、踏み絵を踏まず、踏み絵に額づきました。↓
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*モニカは火あぶりにされながら従容として死んでいきました。
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*この鉱山は瀬戸窯業が最盛期にさしかかる頃撮影されました。瀬戸の粘土はノベルティ製造に最適な粘土であったこともあって瀬戸史上最大の経済的繁栄がノベルティ産業によってもたらされました。この映画の撮影の後、ノベルティ製造などのため大量に粘土が採掘されたため、この映画の中に記録されていた粘土鉱山の景観は大きく変貌しました。この映画を初めて見て、この映画がある意味で瀬戸の戦後史の貴重な証言記録ともなっていることを痛感しました。円高による陶都崩壊の第二の波が今、瀬戸の町中の深部で進んでいます。その姿を見つめ、陶都の崩壊の有様を記録しようとする人は当会以外にいるのでしょうか?「陶都の誇りが今、さらに大きく問われている…」、60年前のこの 映画はそのことを瀬戸の人たちに問いかけているような気がしてなりません。


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今日午後2時から瀬戸・永泉教会で映画『青銅の基督(キリスト)』が上映されます。

7月18日
☆瀬戸最盛期の頃に瀬戸の粘土鉱山でクライマックスシーンの撮影が行なわれた映画『青銅の基督(キリスト)』が今日午後2時から瀬戸・永泉教会で上映されます。観覧は無料です。


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★<映画『青銅の基督(キリスト)』上映会:無料
主催&会場: 瀬戸・永泉教会(瀬戸市杉塚町:若き日の加藤唐九郎も通った国の登録有形文化財)
日時: 今日7月18日(金) 午後2時~
お問い合わせは: 永泉教会へ(☎0561-82-2314)

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(映画『青銅の基督』が上映される瀬戸・永泉教会 :瀬戸市杉塚町↑)

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(↑映画の原作:長与善郎著「青銅の基督」ー新潮文庫ー)

★<映画 『青銅の基督(キリスト)』>
『青銅の基督』は長與善郎原作、江戸時代の長崎を舞台とした鎖国下のキリシタン殉教悲劇。キリシタン禁止令を敷く幕府の思惑により、萩原裕佐という若き鋳物師(岡田英二)が青銅製のキリスト像(踏 み絵)を造ることになった。その鋳物師と恋仲のモニカ(香川京子)との悲恋を軸に物語が進行する。聖夜、信者たちは、キリシトファ・フェレラという“転びバテレン”(滝沢修)の密通により役人に捕えられる。しかし、信仰の堅い信者たちは踏み絵を拒み、青銅のキリスト像に額づいて磔刑(はりつけ)に処せられる。そのクライマックスである公開処刑シーンが瀬戸市の粘土採掘場である陣屋鉱山でノベルティ会社で働いていた工員など市民エキストラの協力を得て撮影されたのです。

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*敬虔な信者であるモニカ(香川京子)は若き鋳物師・萩原裕佐が造った青銅聖像を踏むことを拒み、十字架に架けられ殉教します。原作によれば、その踏み絵に使われたのは青銅のピエタ像でした。↓

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*「ピエタ」はミケランジェロの名作の一つで、ローマのサン・ピエトロ大聖堂に安置されている大理石彫刻です。
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*↑これは元「瀬栄陶器」の原型師・林幹夫さん(故人)が原型を担当した「ピエタ」像。ダビンチの名作をセトノベルティとして製作した作品で、当会が林さんのご家族から寄贈されたものです。十字架に架けられたキリストをマリアが抱き抱える姿。母と息子、聖母とキリストが一体となった名作です。仰ぎ見られることを意識して、横たわるキリストは大き目に作られているのだそうで、林さんの原型もそれにならっています。
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*セト・ノベルティにとってキリスト教はとても大きなモチーフでした。この映画にエキストラ出演した人たち↑にはノベルティ会社の従業員も多く、そうした従業員もキリスト教関連のいろいろなノベルティの生産に従事していたのでしょう。
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*↑これはキリスト教関連ノベルティの一つで、東京オリンピックが行われた頃、盛んに瀬戸市で作られていました。当会はこれを複数のノベルティ会社から入手しています。(↑これはR社製↓)
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*この像は正式には“Infant of Prague”、「プラハの幼子イエスの像」。チェコ・プラハの聖母マリア教会にあるイエス・キリストの幼子の姿だそうで、世界から多くの信者が参詣に来るそうです。
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(↑プラハの聖母マリア教会にある「幼子イエスの像」)
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(↑上はS社製の「幼子イエスの像」)

*↑当時、瀬戸のノベルティメーカーはこの像を“少年法王”と呼んでいました。しかし、会社も従業員もこの像が本当はどんな宗教像なのかをよく知る人は少なかったようです。今になってこれが「幼子イエスの像」であったことがわかるのです。ともあれ、瀬戸で作られたこうしたノベルティが世界の各地で多くの人々の篤い信仰を支えていたのですから、「瀬戸ノベルティは尊い仕事の尊い産物であった」ことを今改めて知る必要があると思います。

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